カワサキの250ccバイクである250TR。
生産終了したものの、大変人気のあるバイクで、中古相場も比較的高めに設定されています。
250TRのカスタム車両を入手したため、自分でできる範囲でDIYカスタムを行っている様子をご紹介していくシリーズ展開の今回は第21回目です。
前回の記事はこちらです。
前回のカスタムの後、ふとTRのクラッチを握った時、クラッチが切れていないことが発覚しました。
クラッチワイヤーを調整しましたが切れず、ワイヤーが伸びているのかの思い、純正ワイヤーを入手して長さを比較してみるも、同じ長さにて伸びはありませんでした。
ネットで調べた結果、クラッチが切れない原因としておそらくクラッチ板の貼り付きが考えられるとの見解に達したため、今回はクラッチカバーを開けてみることとしました。
1.必要なもの
クラッチカバーを開けることは初めてで不安があるため、しっかりとした下調べや準備をしてから作業に挑みました。
はじめに必要となる部品や道具をご紹介していきます。
1つ目は250TR純正のガスケットです。
この250TR自体もおそらく過去にクラッチカバーを開けられたことはないでしょうから、開けた際にガスケットが破損することは明らかなので準備しました。
購入はカワサキ純正部品の品番を調べウェビックやモノタロウで手続きしました。
次はそのガスケットを綺麗に取るスクレーパーと、クラッチカバー面をならすオイルストーンです。
そして、クラッチカバーを開ける以上、オイル交換が必要になりますので、カストロールのオイルとオイルジョッキ、さらにオイルパンです。
以上、これだけ準備を万端にし、たくさんの整備動画で「クラッチの貼り付き解消」を勉強して方法を頭に叩き込みました。
2.クラッチの貼り付き
いざ作業を開始、まずはオイルを抜きます。
今まではオイル交換もショップに任せていたため、オイルパンなど持っていませんでしたが、あると便利ですし用品が揃っていくという所有感が心地よいです。
道具を完璧に揃えたと思いきや、画像の長いロッドが必要なことにカバーを開けてから気づくという始末。
自転車で10分足らずのところにコーナンがあるので助かりました。
DIYを楽しむ筆者にとってコーナンは本当に便利で重宝するため、次に転居する時も必ずコーナンまでの距離は候補にいれて探そうと思います。
カバーを開けて見てその機構の複雑さに一瞬たじろぎました。
なかなか手ごわそうなビジュアルをしていますが、今一度Youtubeで動画を見て触るべきところだけに集中します。
クラッチプレートとフリクションプレートを一枚一枚丁寧に取り出し、しっかりと状態を確認していきました。
途中、「これが原因の張り付きか!?」と思われるような二チャッとしたやや頑固な重なり具合がありましたが、本来「クラッチの張り付き」と定義される現象の程度が不明ですので、この時点ではなんとも言えません。
いくら予習していたとしても実際にそれを体験していないことには不具合の箇所を特定できないのが動画学習の欠点です。
綺麗なオイルパンにプレートを並べ、再び状態を確認していくこととしました。
年式の割にサビや割れ欠けなどは一切なく、比較的美しい状態を保っていることに安堵しました。
頑固なひっつきを起こさぬよう、プレートそれぞれにオイルをまんべんなく塗りたくってから元あった場所に戻していきます。
補足として、複雑な機構を触る際は元通りに戻せるよう、事前にいろいろな角度から撮影しておくことをルーチンにしましょう。
3.ガスケットの除去と新設
クラッチカバーを閉める際、オイルが漏れてこないようにカバーとエンジンの接地面を平滑にする必要があります。
先にこびりついている古いガスケットをスクレーパーで取り除きますが、スーッと綺麗に剥がれていくためとても快感です。
続いてエンジンオイルを染み込ませたオイルストーンで面を整えていきます。
ガンプラのやすり掛けと包丁研ぎの合わせ技のような感覚ですが、学んだ通りにやっているとはいえあまりよくわかりません。(笑)
このTR個体に関しては接地面がそれほど荒れていたとは思えず、オイルストーンによるならしは不要だったかなととも考えます。
なんにせよ、今後永らくバイク整備をしていく身としては今経験しておいたことに意味があるのでしょう。
最後に新品のガスケットを装着し、慎重にクラッチカバーを戻します。
4.オイルを入れ完了
仕上げにオイルを入れて作業完了です。
用いたカストロールは、筆者にとって初めてのオイルでした。
今回の作業でもクラッチが切れないなら再びオイルを抜いてクラッチカバーを開けるという可能性を考慮し、比較的安価なオイルを選択したのです。
ですが安価とはいえネット価格なだけですし、たとえ安価なオイルでもマメに換える方がエンジンにとって良いのは周知の事実です。
これを機にオイルジョッキも購入。オイルパン同様これも嬉しいものです。
オイル注入後、クラッチワイヤーをつないでいざクラッチレバーを握ると・・・
しっかりとクラッチを切ることができました。
やはりあのプレートの「ニチャッ」とくっついていたところが「クラッチ板の貼り付き」だったのだと断定しました。
不具合を自分の力だけで解消できたことは達成感にあふれ、本当に嬉しいものです。
今回初めてクラッチの中に迫りましたが、事前に知識や道具の準備を適切に行っておくことで筆者でも問題解決できるのだということがわかりました。
今後も、どんどんとエンジンの中身の方へも理解を深めていこうと考えます。