カワサキの250ccバイクである250TR。
生産終了したものの、大変人気のあるバイクで、中古相場も比較的高めに設定されています。
250TRのカスタム車両を入手したため、自分でできる範囲でDIYカスタムを行っている様子をご紹介していくシリーズ展開の今回は第9回目です。
前回の記事はこちらです。
前回はウインカーを換え、メーターの位置にこだわったところでした。
細かい変化がバイク全体に大きな影響を与える良き例だったと自負しております。
今回はバルブクリアランスを調整した件です。
タペット調整とも呼ばれるそのメンテナンスは、250TRと同じエンジンを持つエストレヤにも有効なメンテ手順となっています。
エンスト癖があったりタペット音が出てきた250TRおよびエストレヤにお乗りの方に役立つ内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。
1.250TRのエンスト癖
ベース車両の250TRは、現状販売で購入した時点から既にエンスト癖がありました。
友人の250TRやエストレヤでもエンスト癖はよく耳にしてたので、このエンジンにとっては宿命で仕方ないことだと諦めておりました。
そして、どんなに優れた四輪車よりも早くアイドリングストップ機能を備えたエンジンだと、さすがカワサキだと考え、無理やり自分を納得させました(苦笑)。
しかし、少し調べるとタペット調整をすればエンスト癖は改善されるとの情報を入手しました。
もう一つの所持バイクであるSR400でも、タペット調整をバイクショップにやってもらったことがあるので、その存在は存じ上げておりましたが、今はバルブクリアランスというのが主流のようです。
バルブクリアランスを調整する先人たちのブログを読んで勉強させて頂き、実行に移すこととしました。
前提として、バルブクリアランスの調整はエンジンが冷えていることが条件ですので、走ってきた後などにはできません。
一晩しっかり冷やしたエンジンで挑戦しましょう。
2.必要工具の買い揃え
まずは必要な工具を揃えます。
左側のエンジンカバーを開けるためのコインドライバーと、バルブクリアランスを測定するシックスネスゲージを購入しました。
3.圧縮上死点を出す
最初にプラグを外しておいてください。
次に左側のエンジンカバーをコインドライバーで開け、圧縮上死点を出します。
コインドライバーでなくてもお手持ちの工具で変わりはききますが、どうせなら専門品を揃えたいところです。
カバーを外すと、このように状況になっているため、14mmのソケットを用いてTマークと切り欠きを合わせます。
こうすることで圧縮上死点に持ってくることができます。これをしないことにはバルブクリアランスの調整はできません。
4.バルブクリアランスの調整
ここでようやく本題となるバルブクリアランスの調整です。
調整場所はタンクの下にありますが、250TR純正タンクなら外さずにそのまま作業をすることができます。
目指す数値は
・排気側(前)0.17mm~0.22mm
・吸気側(後)0.10mm~0.15mm
このサービスデータに記されている数値を必ず守り調整していきます。
シックネスゲージを用い、バルブクリアランスを測定します。
適切なクリアランスを出すには、
「ようかんを切ったような感覚」を目標にすることであると、よく例えられています。
実際にようかんを切ったことが無い方にはわからないでしょうから、必ず事前にようかんを切ることを経験しておいてください。
ただ適切な調整ができたとしても、ボルトを締める時に再びクリアランスが狂う可能性もあります。
難しい微調整が求められますので、妥協することなく適切なクリアランスを出しましょう。
後ろ側の吸気側も同じ手順で調整をするだけで、特に違いはありません。
5.調整完了
無事バルブクリアランスの調整が完了しました。
もともとクリアランスが少し狂っていましたので、調整後はタペット音が静かになりましたし、エンスト癖もいくぶんかマシにはなりました。
ですがまだまだ完全ではなくエンストしたので、本来の原因は他にあるのだろうと考えます。
自分でできるメンテナンスを増やしていくと、バイクの構造も少しずつ把握していくことができますので、ツーリング先での急なトラブルにも対応できるようになります。
プロに任せるところと自分でできるところの線引きをしっかりとし、楽しくDIYメンテナンスを行っていきましょう。