ヤマハが誇る日本の名車「SR400」。
惜しまれながらも2021年に43年にも及ぶ歴史に幕を下ろしましたが、現在も多くのライダーから愛されている素晴らしいバイクです。
このシリーズでは、筆者の愛車である2001年式キャブレターモデル(通称:3型)のSR400を元に、メンテナンスの記録をお送りしていきます。
筆者は整備に関しては素人ですが、SRを購入して15年、愛情をたくさん注いできました。
そんなあふれ出すSR愛を以て、皆さんの車両のメンテナンスにも役立つような説明や画像の選択を心がけて参りますので、ぜひ最後までお付き合いください。
今回は自分でやるには少しハードルが高いタイヤ交換についてです。
タイヤは消耗品で、走ったり時間が経ったりすると定期的に交換するものですので、やり方だけでも覚えて帰ってください。
かかる費用やショップに依頼した場合の工賃等も絡めた内容も含めて大変役に立つ記事となっておりますので、ぜひ最後までお読みください。
1.使用したタイヤなど
私がSRに使用するタイヤは、ダンロップのフロント:F11 リア:K87です。
F11とK87は国産旧車によく用いられており、ロングセラーで耐久性も高くコストパフォーマンスに優れています。
しかしながら、タイヤはそのパターンがあなたにとって好みかどうかが一番の選択基準だと考えますので、ご自身の納得のいくパターンを見つけてください。
中のタイヤチューブはタイヤ交換2回に1回の割合で交換すればいいとのことですが、どうせなのでタイヤとチューブとリムバンド、全てを一緒に新品に換えましょう。
2.必要な道具やケミカル用品
タイヤ交換に必要な道具などはこれらがあります。
まずは一番大切なタイヤレバー。
タイヤのビード(ふち)にひっかけて「てこの原理」でリムからめくりあげるため、レバーの厚みが薄ければ薄いほど作業がやりやすいです。
リンクのレバーはお値段の割に薄めかつ丈夫で、初心者の筆者でも扱いやすかったためおすすめです。
続いて、チューブのバルブを付け外しする「バルブコア回し」です。
バルブコア回しがなくてもバルブを押せば空気を抜くことはできますので、作業ができないわけではありませんが、高い物ではないので用意しておきましょう。
ビードクリームはタイヤとリムの摩擦を減らすための潤滑油としての役割を担います。
これがしっかり塗れているかそうでないかでタイヤ交換の難易度が大きく変わりますので、ケチらずたくさん塗布してください。
タイヤパウダーはチューブがタイヤの中で変にくっつくことを防止し、タイヤとチューブの摩擦を軽減します。
チューブがタイヤの中で偏ることなく均一に膨らませるために、これもケチらずにふんだんにまぶしましょう。
ジャッキはセンタースタンドが無い場合は必要になります。
センタースタンドがあったとしても、フロントかリアのいずれかを外している場合はタイヤのある方に荷重をかける必要がありますので、事故防止の観点から用意しておくことをお勧めします。
筆者は自動車に備え付けてあるジャッキを利用しました。
仕上げに空気入れです。
筆者はガソリンスタンドにあるコンプレッサーをお借りして、空気圧を測定しながら空気を入れていますが、ガソリンスタンドに行くまでに空気を入れなければなりません。
バルブさえ合えば自転車用で構いませんので、人力で何度も何度も手や足を動かして空気をいれ、仕上げにガソリンスタンドのコンプレッサーを使うと良いです。
3.フロントタイヤを外す
まずはタイヤを外すべく、センタースタンドを立てた上でジャッキを用いて前輪を浮かせます。
エンジンのアンダーガードをめがけてジャッキをかければいいのですが、そのままではアンダーガードがひしゃげてしまいますので、厚いゴムなどを挟んでおくとよいです。
続いてスピードメーターケーブルを外します。スパナを使用して回せば簡単に抜けます。
次にフォークの下側にある2つのボルトを緩めます。これは完全に抜ききる必要はありませんので、緩めるだけで結構です。
最後にアクスルシャフトを外します。大きなボルトでしっかり固定されていますので、ケガをしないようレンチで力を込めて開けていきます。
シャフトが供回りしないよう、反対側(メーターギア側)にあるシャフトの穴にドライバーなど刺して固定しています。
シャフトが抜けたら、フェンダーなどに当たらないように注意しながらホイールをフォークから外します。
タイヤ交換の準備が完了しました。慣れないうちはここまでで一苦労ですが、何度かやっているうちにホイールを外すことが苦ではなくなるため、場数を踏むことが一番の近道です。
4.タイヤ交換開始
ではタイヤを交換していきましょう。まずは既存のタイヤをリムから外すべく、ビードを落とします。
SRのタイヤならタイヤレバーをリムのフチに引っかけて押し込むことでビードを落とすことができるため、ビード落としは不要です。
ビードが落ちたらタイヤレバーを3本使い、少しずつタイヤをめくっていきます。
3本のうち、真ん中のレバーを抜いて新たにタイヤをめくり上げ、また真ん中のレバーを抜いてと、この工程を繰り返し、タイヤをめくってリムから外し切ります。
既存のタイヤを外すことができました。
既存のタイヤは往々にして時が経っているため固いです。その点、新品のタイヤは新鮮なゴムなので柔らかく、比較的楽にホイールに装着することができます。
新品のタイヤをはめる前にリムバンドをはめます。
続いてチューブにタイヤパウダーを散布し、空気入れ口をホイールに固定します。
滑りを良くするため、ビードクリームをビードに塗りたくります。これをしっかりやるかやらないかで、タイヤ交換の難易度が激変します。
準備ができたら先ほどとは反対の手順でリムにタイヤをはめていきます。ここまでできた人ならタイヤ交換のコツをつかんでいるでしょうから、特に難しく考える必要はありません。
適宜ビードクリームを塗り直しながら、欲張ることなく少しずつビードを入れていきましょう。
欲張ってレバーを入れる幅を広くとると、固くてビードが入らないことはもちろん、リムに傷がつきかねませんので、慎重に進めていってください。
4.タイヤ交換完了
タイヤが無事リムの中に納まったら、チューブに空気を入れてみましょう。
車両に取り付ける前に空気を入れることで、チューブに穴が開いてないかを早期に確認することが目的です。
とはいえ、この時点でパンクさせていることに気づいてもめちゃくちゃへこみますが(苦笑)
さらにホイールを取り付ける前に、フロントフェンダー裏をしっかり磨いておきましょう。
フロントフェンダー裏はホイールを外したタイミングでしか掃除することができませんので、これを好機とみてケミカルで入念に磨いて錆を取ったり予防したりしてください。
そうして準備が整ったら、先とは逆の手順でホイールを装着します。
外すことができたのですから、取り付けることは簡単です。
規定トルクでしっかりと、アクスルシャフトのボルトが締まったことを確認したら作業完了です。
5.おわりに
以上、SR400のフロントタイヤを交換しました。
フロントはリアと比較してホイールを車体から外しやすく、タイヤもリアより細いことからかける力も控えめで済みます。
タイヤ交換に挑戦する際は、まずはフロントから取り掛かってみましょう。
———————————-
作業の様子を動画に収めてYoutubeにアップしていますので、文章や静止画で分かりにくい方は動画も併せてご覧ください。
感想やアドバイスなどをコメント欄にご記載いただけると嬉しいです。