バイクのユーザー車検について解説【意外と簡単】

ユーザー車検 バイク一般

250cc以上の車両には義務付けられている車検

2年に一度訪れる車検は、確実に大金が飛んでいくつらいイベントではありますが、歩行者からドライバーまで皆が安心して公道を往来するためには必要不可欠なものです。

そんなお金のかかる車検を割安に抑えることができるものが「ユーザー車検」です。

この記事では実際にユーザー車検を何度も経験している筆者が、バイクのユーザー車検の流れについて完全解説していきます。

この記事を読むことで難しいイメージのあるユーザー車検がずいぶん簡単に感じることができ、ご自身で行えるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

※大阪運輸支局を例に出していることと民間車検は省略していること、そしてバイクを中心に説明している旨ご了承ください。
 それでもユーザー車検を考える多くの方の参考となる記事になっております。

1.ユーザー車検とは

車検とは本来、多くの方がディーラーやショップ(以下:ディーラー等)に依頼して代行してもらうことが一般的ですが、ディーラー等が代行する車検に対して、車両のオーナー自らが管轄の運輸支局に車両を持って言って車検を受けることをユーザー車検と言います。

ディーラー等に運輸支局に行ってもらうか、オーナー自身で運輸支局に行くか、この点が大きな違いです。


ユーザー車検


ユーザー車検


 

2.ユーザー車検はなぜ安いのか

ユーザー車検の流れを説明する前に、皆さんが気になる安さの理由が以下の通りです。

  • 1.検査代行手数料がかからない
  • 2.プロの適切な点検が行われない
  • 3.安全に走るための整備がされない

2-1.検査代行手数料がかからない

検査代行手数料とは、文字通り運輸支局に車両を持って行き、検査を受けることに対する料金です。

検査代行手数料はディーラー等にもよりますが、概ね10,000円~20,000円程度が設定されています。

車検は平日しか行われませんので、平日に休みがある方や有給休暇取得のハードルが低い方からすれば、「自分で持って行くだけでこれだけ節約できるならやってみようかな」とお考えになることでしょう。

2-2.プロの適切な点検が行われない

ディーラー等に車検を依頼した場合、車両に不具合な箇所がないか適切な点検が行われます。

”24か月点検”などと銘打たれたその点検は、技術と知識が備わったプロの整備士による点検で、エンジンやブレーキの状態など車両のあらゆる問題を洗い出してくれます。

この24か月点検も20,000円以上の料金設定をしているところが多いですが、ユーザー車検はもちろんプロによる点検がありませんのでこの部分をカットすることができます。

2-3.安全に走るための整備がされない

ユーザー車検では前項にある24か月点検が行われない以上、それにより表出された不具合を整備することに対する費用が一切かかりません。(当たり前ですね)

すなわちユーザー車検とは、プロの整備士による点検と整備、そして車検自体が行われないために費用を抑えることができるという、尋常ではない節約術なのです。

これ以降の説明をお読みになってユーザー車検に挑戦してみようとお考えの方は、ディーラー等を介さずにユーザー車検を受けて事故など問題が生じた場合、筆者は一切の責任を負いかねますのでその点は重々ご了承ください。

 

3.ユーザー車検の始まり:ネット予約

それでは本題のユーザー車検の流れについて説明していきます。

まずは管轄の運輸支局でユーザ車検を受けるべく、ネット予約を行います。
※予約の段階で車検証のQRコードを読み込む場面がありますので、パソコンではなくカメラ機能のあるスマートフォンからアクセスするようにしてください。

自動車技術総合機構の検査予約システム-予約トップでアカウントを作成後、自身が受ける運輸支局にて希望の日時を予約します。

運輸支局を間違えないこと、早めに予約を取ることに留意してください。
車検は期限満了の一か月前から受けることができます。

直前では予約枠が空いてない場合がありますので、早めの予約を心がけましょう。

予約枠は一日の中で午前2ラウンド、午後2ラウンドの計4ラウンドありますが、午前の1ラウンドが狙い目です。なぜなら万が一検査が不合格となった場合、その日のうちなら2回までやり直しの再検査を受けることができるからです。

予約ができれば検査前日までにご自身でできる限り車両の点検および整備を行いましょう。
※車検に通る基準は本記事では割愛します。

 

4.ユーザー車検当日の準備:持ち物チェック

そしてユーザー車検の当日、持ち物を確認していきましょう。
・車検証
・軽自動車税納税証明書
・自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責)
この3点の書類が絶対に必要です。
この他に必要な書類は当日陸運支局で入手することができます。

また検査が不合格となった場合を考慮し、現場で調整できるよう最低限の工具も用意します。

何が必要かは人ぞれぞれですが、車検に備えた整備で使ってきたサイズの工具を中心に鞄に入れてください。

当日になってあれが無いこれが無いと修学旅行の準備みたいにならないようにしましょう。

以上の荷物を持って、検査を受ける車両で運輸支局へ向かいます。

うっかり自転車や原付などで行くと自分が大嫌いになること間違いありません。

5.運輸支局に行く前に:テストセンターにて光軸調整

最初に行くところは運輸支局ではなく、テストセンターです。
ユーザー車検
おそらくはどこの運輸支局の近くにこのような外観のテストセンターがあります。

テストセンターでは本番の検査に備えて事前にいろいろ検査を行ってくれるところですが、主に必要となるのは光軸調整です。

光軸調整は素人ではなかなかできるものではなく、筆者の車両は純正のヘッドライト周りであるのも関わらずやはりズレていたのです。

費用は1,500円ですので、けちらずに事前検査を受けましょう。

車検は1日に3回まで挑戦することができますが、順番待ちの時間が結構かかるため、光軸で落ちるだけでも再び順番を待って受け直さなければなりません。

時は金なりですので、純正フルノーマルであったとしても必ず事前にテストセンターに寄り、光軸を完璧にしておきましょう。

テストセンターの方が「不合格だったらまた来てください」と言ってくれましたが、その時は無料なのかまた1,500円かかるのかは不明です。

光軸を整えたら、いよいよ本丸の運輸局です。

 

6.運輸支局にて受付:QRコード読み込みと印紙購入

ユーザー車検
このように大阪の運輸支局は隣にNTTの高い電波塔がそびえ立っていますので、目印に最適です。

ユーザー車検
入り口を進むと目の前には検査レーンが整然と並んでいるのが見えます。

駐輪場にバイクを停め、まず向かうのはこちらのA棟です。
ユーザー車検
ガラス張りな外観はモダンでおしゃれ、冷房も効いており快適な建物です。
ユーザー車検
画像手前にある「9 ユーザー車検受付」の窓口にQRコードリーダーがあります。

そこで車検証に4つあるQRコードのうち、右から2番目を読み込ませることで受付完了です。

プリンターから「自動車検査票1」「自動車重量税納付書」「継続検査申請書」の計3枚の書類に必要事項が印字された状態で出力されます。

それらを持って次に向かうはA棟から向かって右側の少し離れたところにあるC棟です。
ユーザー車検
こちらのC棟で、車検手数料1,830円の収入印紙の購入、重量税5,000円の収入印紙の購入、そして次の2年間の期間を対象とする自賠責保険の更新料8,760円を支払います。

このようにC棟のみでお金のやりとりを行います。必ず現金を準備しておいてください。

またこの際に「点検整備記録簿」ももらえますが、点検や整備の実施は後日行う旨伝えれば白紙のままでOKです。

書類の準備が整えば、いよいよ検査レーンに突入しての検査開始です。

7.検査レーンに並び順番が来たら検査開始

検査自体はレーンに並んだ者順に行われます。
ユーザー車検
筆者は午後のラウンドを予約しておりましたが、昼休憩が終わる13時から少しでも早く検査してもらいたかったため、12時頃から車両を並べておきました。

番号札などはなく、あくまでレーンに車両を並べた順で検査が行われます。

順番が回ってきて、いざ尋常に検査開始。ユーザー車検が初めての場合は検査員の方に申告するとより丁寧に対応してくださいます。

まずは灯火類が正常に作動するかどうか
・フロントウインカー右左
・ハイビーム
・ホーン

検査員の方が後ろに回って
・リアウインカー右左
・ブレーキランプフロントリア
※ハザードは見られません。

「はいどうぞーはいーはいー」と、テンポよく進んでいきます。特殊な機械などは用いず、あくまで検査員の方の目と耳で動作確認が行われます。

これらが終わるとハンドルロックにするよう指示を受けたため、ハンドルを切ってロックをかけます。

この際、検査員の方がマフラーからの排ガス検査を行いました。

プローブという検査棒を検査官の方がマフラーに差し込み、COとHCの値を測ります。

昔は自分でプローブをマフラーに差し込んでいましたが、今回は検査員の方がなさるようです。

数秒後、結果表示板に
「CO 〇」
「HC 〇」
と出れば合格です。

その後、検査官の方はメジャーで車幅を測ったり外観を目視したり、気になる箇所をハンマーで叩いたりして色々確認されていたようです。

これ以降の検査は慣れていれば検査官の方はついて来られず、次の方の検査に行かれました。
不慣れなら傍で助けてくれる様子です。

続いてスピードメーターの検査です。

スピードメーターを前輪か後輪かどちらで計測しているかを選択し(デフォルトは前輪)、車輪をテスターにセット。

左足側にある「フットスイッチ」踏みっぱなすことで車輪のテスターが高速で回転し、外的要因で車輪が回転してスピードメーターを動かします。

メーターの針が40Km/hに来たタイミングでフットスイッチを放す、これによりスピードメーターが正しく機能しているかを確認するのです。

無事合格。そのままフロントとリアのブレーキ検査です。

まずはフロント、次にリア、正面の電光掲示板の指示に従い、「ブレーキをかける」と出たら公道では絶対しないくらいしっかりとしたブレーキをかけます。

これも合格。最後に光軸検査です。

テストセンターでの調整が功を奏し、全く問題なく合格しました。ちなみにハイビームしか測定しません。
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以上で検査が全て終了しました。

検査レーンから出て、近くにいる検査員の方に合格のハンコをもらいに行き、A棟へと戻ります。

A棟の7番窓口に書類を出すと、数分で新しい車検証とステッカーが交付されます。

これらが手に入ると感無量の極み、本当にうれしく感じる瞬間です。

無事独力で車検に合格することができました。

8.ユーザー車検にかかった費用

今回のユーザー車検を通してかかった費用は以下の通りです。
・光軸調整:1,500円
・車検手数料:1,830円
・重量税:5,000円
・自賠責:8,760円/2年
合計17,090円
たったこれだけです。
重量税と自賠責は車両によってケースバイケースですので、一例としてお考えください。

9.終わりに

以上、ユーザー車検について説明してきました。

運輸支局によって、検査官によっても見るポイントや傾向は異なります。

車両が基準に満たされているかどうかを見てもらうのが車検であり、検査の穴を見つけようとしてはいけませんし、決して「前は通してくれたのに!」や「〇〇県の支局では見られないとネットに書いてるぞ!」などと恥ずかしいクレームは入れないようにしましょう。

再三になりますが、冒頭にある通りバイクショップに依頼すれば費用に見合った整備をしてくれているはずですので、今回のような素通しとは比較できません。

安全なバイクライフを送るにはどうすればよいかを常に真剣に考えながら、あなたに合った選択をしていきましょう。

 

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